渋谷陽一(ロッキングオン)さんが死去:死因は脳出血からの誤嚥性肺炎だった

ロック雑誌「rockin’on」の創刊者であり、数々の音楽フェスを生み出してきた渋谷陽一さんが、2025年7月14日、誤嚥性肺炎のため亡くなりました。脳出血による入院後の療養中に、容体が悪化したとのことです。
学生時代、UNIXと格闘しながらプログラミングを書いていた自分にとって、ラジオから流れる渋谷陽一さんの声は、無機質な世界に彩りをくれる存在でした。
週末の夜、サーバーの監視画面と並行して『ワールドロックナウ』を流すのが密かな楽しみだったのです。
入院のきっかけは脳出血だった。誤嚥性肺炎を併発し、家族に見守られて逝去
2023年の秋、渋谷陽一さんは脳出血により緊急入院されました。
入院後は手術を経て、静かな療養生活を送っていたとのこと。2025年夏、ご家族に見守られながら息を引き取られました。
SNSでは、渋谷陽一さんの言葉や番組への感謝が数多く投稿されていました。中でも「ロックは思想だと教えてくれた人」というコメントには深くうなずきました。
業務設計もロックと同じで、「美しい思想」がないとグダグダになるんですよね。
渋谷陽一さんの学歴と経歴まとめ:評論家から会長までの道のり
出身は東京都新宿区。高校は都立千歳丘高校、大学は明治学院大学の経済学部に進学されたそうです(後に中退)。音楽評論家としてデビューしたのは1971年。そして翌年には『rockin’on』を創刊。
学生時代、MS-DOSの黒画面に囲まれながら、「こんな文章が書きたい」と思わせるロックレビューを読んだ記憶があります。あのテンションの上げ方、落とし方、言葉の選び方。無機質なコードと格闘していた身には、鮮烈でした。
音楽フェスを変えた渋谷陽一さん:ロックインジャパンとCDJの誕生秘話
個人的に初めて参加したCDJは、正直、感動よりも「動線完璧すぎてアプリみたいだな」と思ってしまいました。
無駄のない導線、音響設計、時間管理。システム設計者目線で観ると、これはフェスというより「イベントの運用設計モデル」そのものでした。
ワールドロックナウと渋谷陽一さん:27年間の声が生んだラジオ文化
NHK-FMの『ワールドロックナウ』は、筆者にとってエンジニア生活の夜に欠かせない相棒でした。
特に深夜の障害対応で帰宅が遅れた日、渋谷陽一さんの声が流れると「人間に戻れる」気がしたものです。
解説も、アーティストの背景を読み解く構成も、まるで設計思想を読み解くような感覚。
エンジニアにはわかってもらえると思いますが、コードの「なぜこう書いたのか」を理解すると、世界が変わるんですよね。それに近い気持ちでした。
渋谷陽一さんの死に、音楽業界から追悼の声が続々
ミュージシャンや業界関係者からは「音楽に知性を持ち込んだ人」という声が多く聞かれました。
まさにその通りだと思います。
音楽とテクノロジー、一見別世界のようでいて、どちらも「論理と感性のバランス」が求められるジャンル。渋谷陽一さんは、その橋渡し役だったと感じています。