神足茂利選手がリング禍で死去
2025年8月2日、東京・後楽園ホール。
東洋太平洋スーパーフェザー級タイトルマッチに挑んだ神足茂利選手は、王座初挑戦で12Rを戦い抜き、結果は引き分け。惜しくもベルトは逃しましたが、会場は拍手に包まれました。
ところが退場後、医務室で意識を失い、そのまま救急搬送。急性硬膜下血腫と診断され、緊急開頭手術を受けましたが意識は戻らず、8月8日夜、28歳の若さで亡くなりました。
ボクシング界では「リング禍」と呼ばれる事故で、関係者やファンに衝撃が広がっています。
筆者としては、選手の安全対策は、厳重であってほしいと感じます。
最後の試合と死去の経緯
神足茂利選手の最後の試合は、まさに全力を尽くした激闘でした。
相手は王者・波田大和選手。タイトル初挑戦の神足茂利選手は、序盤から冷静にジャブを放ち、距離を取りながらチャンスをうかがいました。
中盤には的確な右ストレートで会場を沸かせ、終盤のラウンドでも足を止めずに打ち合いに応じました。
結果は三者三様の引き分け。勝ち切れなかった悔しさはあったでしょうが、初めての12Rを戦い抜いた達成感もあったはずです。
ところが試合後、控室に戻る前に医務室で意識を失います。
その後の検査で急性硬膜下血腫と判明し、すぐに開頭手術を受けましたが、意識は戻らず。
わずか6日後の8月8日夜、病院で息を引き取りました。
個人的に思うのは、これが単なる「事故」と片付けられてはいけないということ。
安全管理はもちろん、選手の異変をどれだけ早く察知できるかが命運を分けます。
レフェリーが“予兆”を拾える仕組みがあるかないかで被害は全く違うんですよね。
次は、この急性硬膜下血腫がどんな症状で、なぜ危険なのかを解説します。
急性硬膜下血腫とは？症状と原因
急性硬膜下血腫とは、頭を強く打ったことで脳表面から出血し、頭蓋骨の下にある硬膜との間に血が溜まる状態です。
症状は激しい頭痛、吐き気、意識障害などで、時間の経過とともに急速に悪化する危険があります。
ボクシングのようなコンタクトスポーツでは、試合中はアドレナリンが出ているため、選手本人が異変を感じにくいのが厄介な点です。
そのため、リングドクターや関係者が選手の表情や動きを見て、早期に異常を察知することが重要です。
システムエンジニア的に言えば、これは「メモリリーク」に似ています。
最初は軽い症状でも、放っておくと処理がどんどん遅くなり、最後は完全にダウン。
復旧は難しく、早期対応が何より大事です。
神足茂利選手の場合も、発症から搬送までは迅速でしたが、ダメージの深刻さが命を奪う結果になってしまいました。
次は、神足茂利選手がどんな経歴を歩んできたのかを振り返ります。
28歳の若きボクサー・神足茂利選手の経歴
神足茂利選手は1996年9月2日、愛知県名古屋市生まれ。
小学生の6年間はサッカーのGKとして活躍していましたが、中学1年でボクシングを始めます。
高校は愛知県の瀬戸北総合高校に進学し、本格的に競技生活をスタート。
その後、日本大学ボクシング部に進み、アマチュア戦績73戦50勝（5RSC）23敗という輝かしい記録を残しました。
卒業後はM・Tジムに所属し、2019年10月にプロデビュー。
プロでは12戦8勝（5KO）2敗2分けと安定した戦績を誇り、東洋太平洋、日本スーパーフェザー級5位にまで上り詰めました。
個人的には、このキャリアの積み方は「地道なシステムのバージョンアップ」に似ています。
派手ではなくても、一歩ずつ堅実に進める姿勢はエンジニア魂にも通じますね。
次は、学生時代の学びとボクシング部での活躍をもう少し深掘りします。
幼少期からボクシングを始めるまで
幼少期はサッカー一筋だった神足茂利選手。
GKとしての経験が、後のボクシングにも活かされていたと思います。
特に反射神経や状況判断力は、サッカーとボクシングの共通スキルです。
中学でボクシングを始めたきっかけは、地元のジムで見た練習風景。
「これだ」と思ったそうで、そこから一気にのめり込みます。
アマチュア時代の戦績と活躍
神足茂利選手のアマチュア時代は、日本大学ボクシング部での活躍が大きなハイライトでした。
全国大会にも数多く出場し、73戦50勝（5RSC）23敗という堂々たる戦績。
そのうち5試合はレフェリーストップによる勝利で、攻撃力と試合運びの巧さを兼ね備えていました。
アマチュア時代の積み重ねは、プロ転向後のスタミナや冷静な試合運びにも直結しています。
個人的に思うのは、この時期の経験はエンジニアにとっての「現場叩き上げ」みたいなもの。
座学だけでは身につかない“本番対応力”が養われる時期だったんでしょう。
プロデビューからの軌跡と戦績
2019年10月にプロデビューした神足茂利選手は、持ち前の長身とリーチを活かしたアウトボクシングで注目を集めます。
12戦8勝（5KO）2敗2分けという戦績の中で、KO勝利のほとんどは右ストレートかワンツーのコンビネーションによるものでした。
プロの世界では、試合ごとに戦術のアップデートが必要です。
これはシステム開発でいう「フィードバックループ」に近く、戦うたびに修正と改善を重ねていました。
そして2025年8月2日、タイトルマッチという大舞台に立ちました。
結果は引き分けでしたが、内容は間違いなくキャリアの集大成だったと言えるでしょう。
神足茂利選手とボクシング界への影響
リング禍が与える影響と安全対策
リング禍はボクシング界にとって避けて通れない課題です。
試合の迫力や攻防の魅力を保ちながら、選手の安全を守るにはどうすべきか——これは永遠のテーマでしょう。
システムエンジニア的に言えば、「性能」と「安全性」のトレードオフのようなもの。
どちらかを完全に優先するともう一方が犠牲になります。
だからこそ、現場の判断力と最新の安全技術の両立が必要です。
ファンや関係者からの追悼の声
神足茂利選手の死去後、SNSやニュースサイトには多くの追悼メッセージが寄せられました。
「最後まで諦めない姿に勇気をもらった」
「あなたの試合は一生忘れない」
こうした声からも、神足茂利選手がファンに与えた影響の大きさが分かります。