岩崎俊一さん(東北大特別栄誉教授)が死去

2025年7月25日未明、HDD技術の進化に大きく貢献した岩崎俊一さんが、肺炎のため仙台市内の病院で亡くなりました。
享年は98歳。
東北大学の特別栄誉教授として、長年にわたり記録メディアの研究に情熱を注ぎ続けた技術者です。
筆者もシステムエンジニアとしてHDD技術に触れる場面が多いのですが、「この人の研究がなければ、今のストレージの形はまるで違っていたかもしれない」と感じることが本当に多いんです。
報道を受けてSNSでは「記録メディア界のレジェンド」「日本の誇り」など、称賛と感謝の声が相次ぎました。
この記事では、岩崎俊一さんの功績をあらためて振り返るとともに、その人柄や技術的なレガシーについても丁寧に触れていきます。
享年や亡くなった日、家族のコメントは?
岩崎俊一さんが亡くなったのは、2025年7月25日未明のことです。
亡くなった場所は、地元・仙台市内の病院でした。
死因は「肺炎」で、関係者によると高齢のため体力が低下していた中での感染だったようです。
家族のコメントとして正式な発表は確認できませんが、報道によると身内に見守られる形で静かに息を引き取られたとのことです。
医学の力が進んでも、こうして一つの時代を築いた人が亡くなってしまうのは本当にさみしいものですね。
技術畑の人たちはもちろんですが、「あのHDDの進化の裏にそんな人物がいたのか」と初めて知った一般の人からも、多くの反響が寄せられているようです。
葬儀などの詳細情報については報道されていませんが、今後お別れの会や偲ぶ会が行われる可能性もありそうですね。
HDDの小型化と大容量化に貢献した岩崎俊一さんの功績
HDDといえば、今では1TBや2TBが当たり前の時代ですが、その土台を築いたのが岩崎俊一さんなんです。
特に注目すべきは「垂直磁気記録技術」への先駆的な取り組み。
これは、単に記録密度を上げただけでなく、HDDの小型化や大容量化に革命をもたらした技術でもあります。
エンジニアの立場から言うと、かつてのHDDって本当に重くて、でかくて、すぐに音を立てて壊れそうなイメージでした。
それが今やポケットサイズにまで進化しているのは、この技術のおかげといっても過言ではありません。
では次に、岩崎俊一さんが関わった具体的な技術「垂直磁気記録」の中身をもう少し掘り下げてみましょう。
垂直磁気記録とは?世界に与えた影響
垂直磁気記録とは、磁気の粒子を「垂直方向」に立てて記録することで、データの記録密度を飛躍的に向上させる技術です。
従来の水平記録では、粒子が並んで寝ていたので、どうしても限界がありました。
岩崎俊一さんは、この垂直記録方式の理論と応用の両面において先駆者的な存在だったんです。
この技術のおかげで、HDDは大型化せずとも記録容量をどんどん増やせるようになりました。
特に2000年代以降、パソコンやサーバーの普及とともに、この技術の重要性がグンと高まりました。
個人的にも、初めて500GBのノートPCに触ったとき「えっ、HDDがここまできたの?」と感動した記憶があります。
その裏には、こうした地道な研究と挑戦があったということを、多くの人に知ってほしいですね。
HDDの歴史の中で果たした技術的ブレイクスルー
HDDの歴史を振り返ると、もともとは1950年代にIBMが開発した巨大な記憶装置が始まりでした。
それが1960〜70年代に少しずつコンパクトになり、90年代には一般家庭のパソコンにも搭載されるようになります。
しかし、記録密度の限界はすぐに訪れました。
そんなときに登場したのが、岩崎俊一さんが関わった「垂直磁気記録方式」なんです。
この技術が実用化された2000年代中盤以降、HDDの世界は一気に変わりました。
まさに、記録技術の世界における“ブレイクスルー”と呼べるものでした。
筆者も当時システム構築をしていて、「あれ?同じサイズのHDDなのに倍の容量あるじゃん?」って思ったことを今でも覚えています。
それはもう衝撃でした。
そして今、クラウド時代でもHDDは相変わらず現役。
その技術の礎には、岩崎俊一さんのような研究者の功績がしっかりと息づいているんです。
日本人科学者として世界に認められた岩崎俊一さんの経歴
岩崎俊一さんは、HDD業界の中でも「日本人としての誇り」と言われるほどの存在でした。
工学系の研究者として長年にわたり地道に技術開発を進め、多くの成果を世界に届けた人物です。
その生涯を通じて「理論」と「実装」の両方に優れた業績を残し、日本の工学研究の発展に大きく貢献しました。
筆者のような技術畑の人間から見ると、こうした“地味だけど本質的”な技術者が評価されるのは本当に嬉しいものです。
特に外国のカンファレンスなどで「Japanese vertical magnetic pioneer」と紹介されていたこともあり、日本の技術者としての影響力の大きさがうかがえます。
それでは、岩崎俊一さんが活動の拠点としていた東北大学での取り組みについても見ていきましょう。
東北大学 工学部での研究と教育活動
岩崎俊一さんは、東北大学 工学部で長年にわたり研究と教育に携わってきました。
特に、磁気記録に関する基礎研究から応用までを一貫して取り組み、次世代の記録技術の方向性を示した点が高く評価されています。
また、若手研究者の育成にも熱心で、指導した学生の中には現在も第一線で活躍している研究者が多いのだとか。
ちなみに、東北大学から授与された「特別栄誉教授」という称号は、ごく限られた業績者にしか与えられない名誉なもので、大学としてもその功績を非常に重く見ていたことが分かります。
岩崎俊一さんの功績を次世代につなぐために
岩崎俊一さんが残したものは、単なる技術ではありません。
研究に向き合う姿勢、後進への惜しみないサポート、そして“未来を見据えた探究心”こそが、最大の功績だと感じます。
HDD業界においては、すでに次の世代へとバトンが渡されつつありますが、その根幹には岩崎俊一さんの理論や思想が深く根付いているんです。
この先、クラウドやSSDが主流になっても、HDDはバックアップや大容量保管の面で依然として重要なポジションを担います。
そのためにも、過去の研究や功績を正しく理解し、今の技術者たちがどう受け継いでいくかが問われている気がします。
筆者もエンジニアとして、後輩に「なんでHDDはここまで進化できたのか?」と聞かれたら、真っ先に岩崎俊一さんの名を挙げたいと思っています。
では、岩崎俊一さんがどんな想いで研究に取り組み、どんなものを残していったのか。
次で少しだけ、未来への視点を交えてまとめてみましょう。
今後のHDD業界への影響は?
HDDは今後、さらに高密度化が進み、10TB・20TBといった次元へ突入しています。
そして、その開発競争の中で「垂直磁気記録技術」は今も中心技術として使われ続けています。
つまり、岩崎俊一さんの研究成果は“過去のもの”ではなく、“現在進行形で生き続けている”んです。
さらに、東北大学を中心とした研究機関では、今もその流れを引き継いだ研究が活発に行われていて、新たな世代がその火を絶やさぬよう挑戦し続けています。
岩崎俊一さんのような科学者がいたからこそ、僕たちの日常は「容量が足りない」なんて小さな悩みで済んでいるのかもしれません。
技術って、やっぱりすごいなと、しみじみ感じますね。