チャイニーズタイペイとはどこの国?アジア大会女子バレーで台湾と呼ばない理由
チャイニーズタイペイとは、簡単にいえば台湾(中華民国)がオリンピックやアジア大会などの国際スポーツ大会に参加するときに使う名称です。
そのため、アジア大会の女子バレーで「日本対チャイニーズタイペイ」と表示されても、突然「チャイニーズタイペイ」という国が誕生したわけではありません。
初めて見ると「中国?台湾?台北という都市の代表?」と、なかなかの三択問題ですよね。
ややこしくなった背景には、中国と台湾をめぐる政治的な事情と、国際スポーツ界で台湾の選手が競技へ参加するために作られてきた仕組みがあります。
特に国際大会では、名称だけでなく旗や歌についても通常の台湾代表とは少し違った扱いがあります。
アジア大会女子バレーを楽しむうえでも、この仕組みを知っておくと「なぜ台湾と書かれていないの?」というモヤモヤがかなり解消されます。
まずは、そもそもチャイニーズタイペイが何を指しているのか、台湾や中国との違いから見ていきましょう。
チャイニーズタイペイとは台湾(中華民国)を指す名称
チャイニーズタイペイ(Chinese Taipei)は、国際スポーツ大会などで台湾(中華民国)の選手団を示すために使われている名称です。
つまり、アジア大会女子バレーに登場するチャイニーズタイペイ女子代表も、実質的には台湾の女子バレーボール代表です。
チャイニーズタイペイという別の国が台湾の近くに存在しているわけではありません。
「Taipei」と入っているので台北市だけの代表にも見えますが、こちらも違います。
バレーボールでは「Chinese Taipei Women’s National Volleyball Team」として国際大会に参加し、コードには「TPE」が使われています。
ニュースの試合結果だけ眺めていると、このあたりは説明なしで進んでしまうことが多いですよね。
仕事帰りにスポーツニュースをチェックしていて「チャイニーズタイペイって結局どこだっけ?」となり、検索した経験がある人もいるのではないでしょうか。
名称を覚えるより、まず**「スポーツ大会で見かけるチャイニーズタイペイ=台湾側の選手団」**と押さえておくと理解しやすいです。
では、台湾を指しているなら、なぜ最初から「台湾代表」と呼ばないのでしょうか。
ここから一気に、この名称が少し複雑に見える理由がわかってきます。
チャイニーズタイペイは国名ではない?中国との違い
チャイニーズタイペイは一般的な国名そのものではなく、台湾側が国際スポーツ大会などへ参加するときに使用する特別な名称です。
そして重要なのが、チャイニーズタイペイと中華人民共和国の中国代表は、国際スポーツ大会では別の選手団として参加するという点です。
「Chinese」と付いているため、中国代表の一部なのかなと思ってしまいますが、スポーツの大会表をその感覚で見ると混乱します。
チャイニーズタイペイという呼称が定着する大きなきっかけになったのが、1979年に名古屋で開かれたIOCの会議での決定です。
その後、台湾側のオリンピック委員会は「Chinese Taipei Olympic Committee」という名称などの条件を受け入れ、国際スポーツ大会への参加を続けてきました。
一方で、この呼称をどう受け止めるかについては立場によって見解が異なります。
台湾では「台湾」の名称で国際大会に参加することを求める動きもあり、今回の愛知・名古屋アジア大会でも名称をめぐる主張が出ています。
スポーツを見ていただけなのに、気づけば1979年の国際政治までさかのぼっているのですから、チャイニーズタイペイという名前は想像以上に歴史が詰まっていますね。
では、現在のアジア大会女子バレーでは、この仕組みがどのように使われているのでしょうか。
アジア大会女子バレーではなぜ台湾代表と呼ばない?
アジア大会女子バレーで「台湾」ではなく「チャイニーズタイペイ」と呼ばれるのは、台湾側の選手団が国際スポーツで用いてきた参加方式に基づいているためです。
アジア・オリンピック評議会(OCA)が主催するアジア競技大会でも、この名称が使われています。
愛知・名古屋アジア大会の女子バレー準々決勝では、日本代表とチャイニーズタイペイ代表が対戦し、日本が3-0で勝利しました。
スコアは25-12、25-16、25-19でした。
テレビやネットニュースでこの試合を見て「台湾じゃないの?」と思った人が検索するのも無理はありません。
むしろ何も知らなければ、チャイニーズタイペイから台湾を連想するほうが難しいくらいです。
ただ、名称の問題を単純に「中国がそう呼ばせている」とだけ説明すると、これまでのIOCでの決定や台湾側が参加条件を受け入れてきた経緯が抜け落ちてしまいます。
一方で、台湾の名称を使用したいと考える団体からは、現在の呼称に対する異論が出ているのも事実です。
今回の愛知・名古屋アジア大会では、さらに台湾のスポーツ行政をめぐって歓迎式典で問題が起きたとも報じられました。
「名前だけの話だと思っていたら、現在進行形の話だったの?」と感じるところですよね。
次は、台湾の李洋運動部長をめぐって何が起きたのか、OCA会長の発言として報じられた内容とあわせて見ていきます。
チャイニーズタイペイとはどこの国?アジア大会女子バレーで政治的介入が起きた背景
今回のアジア大会では、女子バレーのチャイニーズタイペイ代表だけでなく、台湾側関係者の歓迎式典への出席をめぐる出来事も注目されました。
台湾の李洋さんが歓迎式典への出席を一時拒否されたと報じられ、約1時間半の交渉を経て参加できたとされています。
さらに台湾メディア「中国時報」は、OCAのシェイク・ジョアン・ビン・ハマド・アル・サーニ会長が「スポーツと政治を混同すべきではないが、われわれはすでにそうしてしまった」と語ったと報じています。
ここで注意したいのは、チャイニーズタイペイという名称の成立経緯と、今回の歓迎式典で起きた出来事は分けて考える必要があることです。
ただ、同じ大会で続けて台湾の名称や参加をめぐる問題が話題になると、「スポーツだけの話ではないんだな」と感じるのも自然ですよね。
女子バレーの試合結果を調べ始めただけなのに、いつの間にか国際政治まで勉強しているという、なかなか情報量の多いアジア大会になっています。
では、歓迎式典では具体的に何が起きたのでしょうか。
アジア大会の歓迎式典で台湾の李洋運動部長が一時出席できず
9月18日に行われた歓迎式典では、台湾政府のスポーツ省にあたる運動部の李洋さんが、出席を一時拒否される事態があったと報じられています。
台湾メディア「中国時報」の報道として伝えられたところでは、OCA側から入場を認められず、台湾側との約1時間半にわたる交渉を経て歓迎式典に参加できたとされています。
かなり気になるのは、単に受付で名前が見つからなかったという程度の話として報じられていないところです。
OCA会長自身が政治とスポーツの関係に言及したと伝えられたことで、この出来事への注目が一気に高まりました。
ただし、誰がどのような政治的意図で入場を拒否したのかについて、今回提供された情報だけでは具体的な判断材料がありません。
そのため、「中国側が拒否させた」などと原因まで断定するのは避けたほうが正確です。
国際大会では競技そのものに目が向きがちですが、選手団や政府関係者の名称・資格・参加方法にも細かな取り決めがあります。
チャイニーズタイペイについて知ると、ニュースで何気なく表示されている「TPE」の3文字までちょっと違って見えてきますね。
そして今回さらに注目されたのが、この件について報じられたOCA会長の発言です。
OCA会長がスポーツへの政治的介入を認めたと報道
OCAのシェイク・ジョアン・ビン・ハマド・アル・サーニ会長は、今回の出来事について政治的介入があったことを認める趣旨の発言をしたと台湾メディア「中国時報」が報じています。
報道では、ジョアン会長が「スポーツと政治を混同すべきではないが、われわれはすでにそうしてしまった」と語ったとされています。
また、同様の出来事が再び発生した場合にはOCAが相応の措置を講じ、すべての選手が競技で平等な権利と自由を享受できるようにすべきだという見解を示したとも伝えられました。
この発言が事実関係を考えるうえで重要なのは、台湾側だけが「政治的介入だ」と主張したという構図ではなく、OCA会長の発言として政治とスポーツの混同に言及した内容が報じられている点です。
とはいえ、提供された情報では介入した主体や判断に至った詳しい経緯までは示されていません。
そこを想像で埋めると、一気に政治記事の沼へダイブしてしまいます。
確認できる範囲を切り分けて見ることが大切ですね。
そして、この問題と並行するように名古屋では「チャイニーズタイペイ」という名称そのものを見直そうとする声も上がりました。
次は、台湾の名称をめぐる「正名運動」を見てみましょう。
チャイニーズタイペイの名称を「台湾」に変える正名運動も
チャイニーズタイペイという名称については、台湾側でもさまざまな意見があり、「台湾」の名称を国際スポーツ大会で使用することを求める活動があります。
今回提供された情報では、「台湾研究フォーラム」と台湾人有志が9月19日に名古屋市内で記者会見し、2028年ロサンゼルス五輪などで「チャイニーズ・タイペイ」から「台湾」への名称変更を訴えたとされています。
台湾研究フォーラムの永山英樹さんは、現在の名称について中国の政治を反映したものだという趣旨の主張をしています。
一方、現在のチャイニーズタイペイという参加方式は、IOCでの決定や台湾側のオリンピック委員会が合意した経緯を経て運用されてきました。
そのため、「台湾と呼べば全部解決」というほど単純な話ではありません。
会社の部署名を変えるだけでもメールアドレスから名刺まで大騒ぎになるのに、こちらは国際スポーツと政治が絡む名称です。
簡単に変えられない事情があることは想像しやすいですね。
では、なぜ名古屋で名称変更を訴える記者会見が行われたのでしょうか。
実は「チャイニーズタイペイ」の歴史をたどると、名古屋が重要な場所として登場します。
チャイニーズタイペイとはどこの国?名称が生まれた名古屋決議とは
チャイニーズタイペイという名称が現在の国際スポーツで使われる大きな転機になったのが、1979年に名古屋で行われたIOCの決定です。
一般に「名古屋決議」と呼ばれ、台湾側のオリンピック委員会の名称や国際大会への参加方法をめぐる重要な出来事になりました。
その後、1981年には台湾側とIOCの間で取り決めが行われ、「Chinese Taipei」の名称や独自の旗などを使用する現在につながる方式が形作られていきます。
つまり、愛知・名古屋アジア大会でチャイニーズタイペイという名称が注目され、その名古屋が約半世紀前にも名称問題の舞台だったというわけです。
偶然とはいえ、歴史がぐるっと一周して名古屋へ戻ってきたようで興味深いですね。
ここからは、現在の呼称につながった経緯をもう少し詳しく見ていきます。
1979年の名古屋決議がチャイニーズタイペイの起点に
現在の「チャイニーズタイペイ」という参加方式を理解するうえで外せないのが、1979年に名古屋で行われたIOCの決定です。
当時は、中国と台湾の双方がオリンピックにどう参加するかという問題がありました。
そこで台湾側のオリンピック委員会について、従来とは異なる名称や旗などを使用してIOCに残る方向が示されました。
この決定が「名古屋決議」と呼ばれています。
ただし、1979年の決定だけで現在の仕組みがすべて完成したわけではありません。
その後の協議を経て、台湾側が「Chinese Taipei」の名称などを使用して国際スポーツへ参加する方式が整えられました。
現在のアジア大会女子バレーで「チャイニーズタイペイ」と表示される背景をたどると、40年以上前の名古屋へ行き着くわけです。
試合の電光掲示板に表示される名称ひとつにも、これほど長い歴史があります。
続いて、台湾側がどのような条件で国際大会への参加を続けることになったのか見てみます。
台湾側が1981年に名称などの条件を受け入れた経緯
1981年には、IOCと台湾側のオリンピック委員会との間で、国際大会への参加方法について取り決めが行われました。
これによって「Chinese Taipei Olympic Committee」という名称や、台湾の国旗とは異なる委員会旗などを使用する方式が定着していきます。
その後、台湾側の選手はチャイニーズタイペイとしてオリンピックをはじめとする国際スポーツ大会へ参加してきました。
ここは名称問題を理解するうえでかなり大事なポイントです。
現在の呼称について批判や変更を求める声がある一方、長年にわたって国際大会への参加を可能にしてきた制度でもあります。
そのため、歴史を説明するときは「一方的に付けられた名前」とだけ表現すると、1981年以降の取り決めという重要な部分が見えにくくなります。
政治的なテーマほど、キャッチーな一言より時系列で追ったほうがスッキリしますね。
そして、チャイニーズタイペイ方式で変わるのは名前だけではありません。
表彰台で優勝した場合に「どの旗が上がって、何の曲が流れるの?」という疑問も出てきます。
国旗や国歌はどうなる?国際スポーツ大会での扱い
チャイニーズタイペイとして参加する大会では、台湾(中華民国)の国旗や国歌とは異なるものが使用されます。
オリンピックやアジア大会などでは、台湾の国旗に代わってチャイニーズタイペイオリンピック委員会の旗が使用されます。
この旗は梅の花をモチーフにしたデザインから「梅花旗」と呼ばれることもあります。
また、国歌についても中華民国国歌ではなく、チャイニーズタイペイオリンピック委員会の会歌が使用されます。
ここまで知ると、「チャイニーズタイペイって呼び方だけ変えているんでしょ?」というイメージとはかなり違いますね。
名称、旗、歌まで含めた国際大会への参加方式として考えると理解しやすくなります。
一方、競技をしている選手たちに目を向ければ、今回の女子バレーではチャイニーズタイペイと日本が準々決勝で直接対決しました。
最後に、女子バレーで実際にどのような試合になったのか確認していきましょう。
チャイニーズタイペイとはどこの国?アジア大会女子バレー日本戦の結果
アジア大会女子バレー準々決勝では、日本代表がチャイニーズタイペイ代表にセットカウント3-0で勝利しました。
チャイニーズタイペイは台湾の女子バレーボール代表として国際大会に出場しているチームで、日本は第1セットから主導権を握りました。
ここまで政治的背景を見てくると少々難しく感じますが、コートに入れば話はシンプルです。
ネットを挟んでボールを落としたほうが得点。
政治の話とは違い、バレーのルールはありがたいほど分かりやすいですね。
試合内容とともに、チャイニーズタイペイ女子代表がどのような位置付けのチームなのかも確認してみましょう。
女子バレー日本代表がチャイニーズタイペイに3対0で勝利
女子日本代表は準々決勝でチャイニーズタイペイと対戦し、25-12、25-16、25-19の3-0でストレート勝ちしました。
第1セットは日本が立ち上がりから4連続得点を奪い、チャイニーズタイペイが早い段階でタイムアウトを取る展開になりました。
途中で日本にミスが重なったものの、和田由紀子さんらの攻撃で再び流れを引き寄せています。
第2セットも日本がリードを広げ、25-16で連取。
第3セットではチャイニーズタイペイも粘りを見せましたが、日本が25-19で取り切って準決勝進出を決めました。
ニュースだけを見ると「チャイニーズタイペイに勝利」で終わりますが、チームの正体を知ってから見ると記事の読みやすさが全然違います。
では、このチャイニーズタイペイ女子代表は、正式にはどのようなチームなのでしょうか。
チャイニーズタイペイ女子代表は台湾のナショナルチーム
バレーボールチャイニーズタイペイ女子代表は、台湾(中華民国)の女子バレーボールナショナルチームです。
国際大会では「Chinese Taipei」の名称と「TPE」のコードを使用します。
提供された情報では、国際バレーボール連盟への加盟は1982年で、1983年のアジア選手権では4位になっています。
世界選手権にも出場経験があり、1990年大会では11位となりました。
つまり、「チャイニーズタイペイ女子代表」という謎の新チームが今回だけ登場したわけではなく、長年この名称で国際大会に参加してきた台湾の代表チームです。
ここを知ってしまえば、次から「TPE」と表示されても迷子にならずに済みそうですね。
そして、チャイニーズタイペイという呼称は女子バレーだけの特別ルールでもありません。
最後に、ほかの国際スポーツとの関係を見てみましょう。
女子バレー以外の国際大会でもチャイニーズタイペイを使用
チャイニーズタイペイという名称は、女子バレーだけでなく、オリンピックをはじめさまざまな国際スポーツで使用されています。
そのため、野球やバスケットボール、サッカーなどを見ていて「Chinese Taipei」や「TPE」という表示に出会うことがあります。
競技によって細かな運用は異なりますが、「チャイニーズタイペイってどこの国?」と疑問に思ったら、まず台湾を指していると考えると理解しやすいです。
ただし、チャイニーズタイペイは台湾そのものの一般的な国名という意味ではなく、国際スポーツなどで使用される名称だという点は押さえておきたいですね。
今回の愛知・名古屋アジア大会では、女子バレー日本戦に加え、歓迎式典や名称変更を求める動きまで重なったことで、その背景が改めて注目されました。
普段ならスコアだけ確認して閉じてしまうスポーツニュースでも、チーム名の由来を一つ調べるだけで40年以上の歴史につながるのは面白いところです。
